先日、第27回日本褥瘡学会学術集会に参加しました。
普段は訪問診療の現場で働いている私たちにとって、学会は新たな知識や技術に触れる貴重な機会です。
この学会では、あい太田クリニックの褥瘡治療のエキスパートである川合重夫医師も、シンポジウム「多職種で取り組む在宅褥瘡の2025年問題」と、一般演題「在宅患者におけるエアーマットレス使用の現状」に演者として参加したほか、ポスター発表にも挑んでおられました!

私たちは普段から川合医師の診療に同行する機会も多く、生で褥瘡ケアを目の当たりにしていますが、改めて学会で発表する川合医師の姿を見て、とても誇らしく思いました!

私たち自身としても、時間の許す限り様々な発表を拝見、拝聴し、中でも印象的だったランチョンセミナーとポスター発表で紹介された2つの事例がとても心に残ったので、簡単ですが感想を述べたいと思います。
それは、これまで私が持っていた褥瘡ケアの常識を根底から覆すものでした。
“処置される側”から“自らケアする側”へ|衝撃のセルフケア事例
訪問診療では、患者さんの多くはご自身でのケアが難しく、私たち医療者が主体となって褥瘡の処置を行います。
そのため、褥瘡ケアは「処置する側」と「処置される側」という役割がはっきりと分かれているものだと、無意識のうちに思い込んでいました。
しかし、ランチョンセミナーで紹介されたのは、なんとご自身の褥瘡を自分でケアする患者さんの事例でした。
特に衝撃的だったのは、大きな歯ブラシのような道具を使い、自分で褥瘡を洗浄している映像です。
初めは「どうせ治らない」と投げやりだった方が、自らケアを行うことで、褥瘡が改善していく様子が鮮明に映し出されていました。
この映像を拝見して、単に傷を治すだけでなく、患者さんの「自尊心」や「生きる意欲」そのものを引き出すことが、私たちの役割なのだと気づかされた気がしました。
そして、ケアを受けるだけではなく、自らケアする力を引き出すことが、真のQOL(生活の質)向上につながるのではないかと深く考えさせられました。
尊厳ある生活を支える褥瘡ケア|諦めない人生の伴走者として
ポスター発表で出会ったもう一つの事例も、心に強く響きました。
シニアカーで農作業を続けることを目標に、褥瘡対策に取り組んだ方の話です。
この事例が示すのは、褥瘡ケアが単なる「創部(傷)の治療」にとどまらないということです。
それは、その人が「どう生きたいか」という人生そのものに寄り添うこと。
「農作業を続けたい」という強い願いを叶えるために、医療者と患者さんが共に褥瘡対策に取り組む。
これは、その方の生活や尊厳を丸ごと支える、まさに生活に根ざした医療です。
これからの訪問診療で大切にしたいこと
今回の学会で、褥瘡ケアは「治す」だけでなく「その人らしい生活を支える」ことなのだと、改めて認識しました。
訪問診療の現場では、患者さんの自宅という生活の場に伺います。
だからこそ、その方の生活習慣や人生観を深く理解し、今回の学びを活かして“自らケアする力”を引き出す視点を大切にしたいです。
褥瘡に悩む患者さんが、単に「処置される」のではなく、自らの力で前向きに生活できるよう、一緒に伴走していきたい。そう強く感じた一日でした。




