6月30日-7月1日の2日間にわたって神戸で開催された、第28回日本緩和医療学会学術大会に参加してきました。
緩和医療学会は、緩和ケアに関する専門的知識や技術の普及・研究を目的とした学会です。
医師のみならず、看護師、薬剤師、栄養士など、さまざまな職種が情報を交換し、相互の連携と協力を深めることができます。
昨年に続いての参加でしたが、あい太田クリニックからは医師2名、看護師2名が現地参加をいたしました。
私のみならず、皆それぞれ興味のある発表を聴いて、とても刺激になったようです。
緩和医療学会は病院での緩和ケアに関する発表が多かったですが、最近は在宅での緩和ケアや病院との連携にフォーカスをあてたシンポジウムや演題も多くなってきました。
先週は、新潟においてオンラインで開催された在宅医療連合学会に参加しましたが、この学会とのコラボレーションも、ますます重要になっているのを感じました。
緩和ケアは、癌と診断された時から始まりますが、われわれ在宅医には、既に余命が幾ばくもない状態で紹介されてくる患者さんが多いです。
また、医療の進歩で新規の抗がん剤などの出現によってギリギリまで治療を行うことも多くなっています。
そこで、癌の治療中から病院の先生と2人主治医制、もしくは緩和ケア科の先生も含めた3人主治医制なども議論され始めています。
いずれにせよ、地域での顔の見える関係づくりが大事だという意見が多く、連携医大会やカンファレンスを通じてお互いの理解を深め、ひとりひとりの患者さんにとって安心して医療を受けられるようにしていくことが重要だと改めて感じました。
また、在宅における緩和ケアは癌だけではなく、心不全、呼吸不全、腎不全、嚥下障害で肺炎を繰り返す方、神経難病など、さまざまな疾患が対象になります。
さらに居宅の方のみならず、老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、グループホームなどの施設における緩和ケアも今後の課題です。
年齢層も緩和ケア病棟で診る方にくらべ高齢です。
そんな観点からも、今後ますます在宅医療学会と緩和ケア学会の連携が重要になっていくと思います。
*日本在宅医療連合学会と日本緩和ケア学会が同じ時期に別の場所で開催されるのをなんとかしてほしいと思っています。