2023.01.10

今年も出会いを大切に

足利市両崖山からの初日の出(I倉看護師撮影)

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
本年は「卯年」、私は年男であり、誕生日が来ると還暦を迎えます。
34年前医師になり外科を志し、群馬県立がんセンター勤務時代は胃がんの治療を中心に行ってきました。
その際も地域の先生と連携をして、ご紹介いただいた患者さんを治療し、落ち着いた時点でまた元の診療所等で日常の健康管理を含め、フォローをしていただいていました。
その後、川越、宇都宮と診療の場を移し、胃がんのみならず、緩和医療、褥瘡治療などにも関わったのち、地域医療に貢献したく、あい太田クリニックで働くことになりました。

昨年、がんセンター勤務時代によく患者さんを紹介してくれていた、外科の先輩にあたる先生から、通院ができなくなり在宅診療に移行したい患者さんがいるとのことで、ご紹介をいただきました。
その患者さんは、以前に私が手術を担当し、胃の全摘をした方でした。
嬉しいことに、訪問すると私のことを覚えていてくれていました。
診察時に手術の傷をみたところ、とてもきれいなのでホッとしました。
しかし、胃がんは完治していましたけれども年歳を重ね、さらに胃がない状態ということもあって、衰弱がかなり進んでいました。
その後、栄養指導、リハビリなどの導入をし、少しでも日常生活の質を上げていこうと試みました。
少し上向いた時もありましたけれども、力及ばずにあまり回復することなくお看取りをすることになりました。
苦しむことなく穏やかな最期でした。
その後、紹介先の先生にご家族が挨拶にいかれたようで、クリニックに対し感謝の弁をいただいたとの報告をわざわざいただきました。

手術の後、残念ながら再発をして自分でお看取りをした方は多数いますが、完治した後の患者さんが逝く時に立ち会ったのは始めてでした。
何かの縁を感じたとともに、太田に来て在宅医療の世界に入って良かったと感じた出来事でした。
また、大変お世話になった大先輩の先生と、手紙のやりとりで再度交流をもてたことも大変嬉しく思いました。

あい太田クリニックで働くようになり、昔にお世話になった方々とも色々な場所でお会いします。
また、訪問診療を開始してから、上で述べた患者さんを含め、私が以前に手術を担当した患者さん3名とお会いしています。
今後も以前から知っている人たちだけでなく、新たに出会った人も含めて、よりよい関係を築いていきたいと思います。
そしてクリニックのテーマである「出会いのキセキをいつくしむ」のもと、地域の医療に貢献していきたいと思っています。

本年もよろしくお願いいたします。

芳賀 紀裕
この記事の執筆者
あい太田クリニック 院長

芳賀 紀裕 (はが のりひろ)

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