クリニックでは電子カルテを使用していて、患者さんの顔を掲示する場所があります。
カルテを開いたときに、患者間違いがないことにも役立ちますし、すぐにイメージが湧くため大変便利です。
ある患者さん宅でのことでした。
「退院しても寝てばかりいたらだめだって先生も言っているし、せっかくならいい表情で撮ろうよ!」と奥さんが言ってくださいました。
そして、ご本人もその気になってくれてとても良い表情を撮ることができました。
残念ながらその患者さんは、まもなく最期の時を迎えられたのですが、後日お線香をあげにおうかがいしたところ、当時こちらで撮影した写真が遺影に使われていました。
思いもよらず、こういったところで微力ながら役に立てていたのだと、胸が熱くなってしまいました。
このエピソードの経験もあり、その後は単にカルテに載せる写真という意識ではなく、患者さんの「自宅での1ページ」を残すつもりで写真を撮ることを心がけるようにしました。
その中で、親子、夫婦での写真を撮ってカルテに載せたところ、お亡くなりになった後に記念に欲しいという要望がいくつもありました。
家に戻ってからお亡くなりになるまでの期間は様々ですが、患者さんと家族が撮る機会はなかなかないようです。
病気を抱えながらでありますが、最期の時を共に過ごした大事な時間です。
その時のことを想い出として残しておきたいという気持ちなのでしょう。
写真をお渡しすると涙ながらではありますが喜んでいただきました。
このようにカルテ用の写真という形で撮った写真が、旅立ちのお手伝いにつながるのも、在宅医療ならではのことだと思います。
そして、われわれ緩和ケアチームで取り組んでいるグリーフケアにも繋がるものだと思っています。
今現在の私のカルテの写真です。大好きな映画、トップガン・マーヴェリック風にして貼り付けました。
なぜサングラスにマイク?全体朝礼の2分間スピーチという好きな話題を披露するコーナーで、マーヴェリックになりきり、映画について語っているところを撮ってもらいました。